放射線治療中の日常生活
放射線治療中の日常生活は普段通りで結構ですが、放射線治療を受けはじめてからしばらくすると、少し体が疲れやすくなることがあります。もし、疲れを感じはじめたら、十分な休息や睡眠をとるようにしましょう。
入浴について
できるだけぬるめのお湯にして下さい。また、皮膚をこすって治療範囲のマークが消えないように注意して下さい。
食事について
食事は栄養バランスのとれた食事にしましょう。具体的には治療部位によって異なりますので、そちらをご覧下さい。
治療を受けている部分の皮膚について
照射を受けている部位の皮膚には次のような変化が起こる場合があります。
- 紅斑:日焼けのように皮膚が赤くなります。
- 乾性落屑:皮膚がカサカサして痒くなります。
- 湿性落屑:皮膚がジクジクして、水ぶくれのようになる場合があります。
このような症状については次のようなことに注意してください。
- こすったり、掻いたりしないで下さい。
- 治療部位は直射日光に当てないようにしましょう。
- 治療部位をきつく締め付けるような服装は避けましょう。
- ひげ剃りは、電気シェーバーを使って下さい。
- 化粧水をつけないで下さい。
- 塗り薬を使用する場合は、あらかじめ担当医師にご相談下さい。
主な治療部位別注意事項
頭部を照射される方へ
- 治療がはじまって2〜3週間たつと、治療している範囲の髪の毛が抜け始めます。しかし、多くの場合は数ヶ月たつと、髪の毛は元どおりに生えてきます。ただし、たくさん照射しなければならない場合、元にもどらないこともあります。
- 治療後はできるだけ横になって体を休めましょう。
- 頭を洗うときは、洗ってよいか担当医にご確認下さい。
洗う場合はブラシを使わずに、刺激の少ないシャンプーを使いましょう。その際には皮膚のマークが消えないように注意してください。 - 髪の毛を染めたり、パーマをあてたりするのは控えましょう。
- 帽子やスカーフ、かつらなどで頭を保護しましょう。
- 酒、たばこ、刺激物はやめて栄養のあるバランスのとれた食事をとりましょう。
口、のどを照射される方へ
- 治療を始めてから数日すると、口の中が痛くなったり、ひりひりしたりすることがあります。
- 食べ物の味がわかりにくくなり、食欲がなくなることがあります。
- 唾液の分泌が悪くなり、口の中がカラカラになったりします。
- 声が出にくくなることがあります。その時はできるだけ声を出さずに、安静にして下さい。
- 口の中を清潔に保つために、一日何回もうがいをしましょう。歯ブラシは軟らかめの物を使用し、丁寧に磨くようにしましょう。入れ歯の方は食事の時以外は外すようにしましょう。
- 口の中の粘膜を傷つけることがありますので、以下のものは控えましょう。
酒、たばこ、辛いもの(カレーや唐辛子)
固いもの(せんべい、ポテトチップスなど)
熱すぎる、冷たすぎるもの、酸味の強いもの(梅干し、レモンなど) - おすすめの食事
おかゆ、ボタージュスープ、牛乳やヨーグルト、豆腐、ハチミツなど - 洗顔はぬるま湯を使い、石鹸は使わず、強くこすらないようにしましょう。
- ひげ剃りは電気シェーバーを軽くあてるように使いましょう。
- 首まわりのきつい服装はさけてください。
- 水分補給はストローのほうが飲みやすいかもしれません。
- カプセルや粉薬が飲みにくいときは、担当医にご相談下さい。
- 治療により唾液分泌の障害をきたした方は、虫歯になりやすいので、食後軟らかめの歯ブラシで歯の手入れを心がけましょう。また、歯の治療が必要になったときは、まず担当医にご相談ください。
胸(乳房)を照射される方へ
- 治療がはじまって2〜3週間すると、照射部位が赤く日焼けしたようになり、照射が終了するころには皮膚が乾燥してヒリヒリする場合があります。これは放射線の影響で、治療終了後に皮膚が黒くなり、1ヶ月くらいで元に戻ります。このような変化がありましたら、ご自分で処置をしたり、あるいは我慢したりせずにどのようなことでもご相談下さい。
- 治療中は体を締め付けるブラジャーよりも、乳房への圧迫が少ないTシャツやお産用のワイヤーが入ってないものがよいでしょう。また下着にマジックが付くこともありますので汚れてもさしつかえのないものを選んで下さい。
- わきの下などこすれるところは、皮膚に変化が起きやすいところです。いつも清潔になさって下さい。その時は石鹸を使わず(使うときは泡立てて)ぬるま湯で、こすらず、押さえるようにしてタオルをお使い下さい。
- カミソリによるワキのお手入れは控えてください。
- 非常にまれな合併症ですが、治療終了後6ヶ月以内に「放射線肺臓炎」が起こることがあります。咳、熱、胸痛や風邪症状がみられた場合にはすぐに受診し医師にご相談下さい。
胸部・食道を照射される方へ
- 治療がはじまって2〜3週間すると、照射部位が赤く日焼けしたようになり、照射が終了するころには皮膚が乾燥してヒリヒリする場合があります。これは放射線の影響で、治療終了後に皮膚が黒くなり、1ヶ月くらいで元に戻ります。このような変化がありましたら、ご自分で処置をしたり、あるいは我慢したりせずにどのようなことでもご相談下さい。
- 治療が始まってしばらくすると咳が出て、喉が乾き、食事がとおりにくくなることがあります。乾燥しないように水分をとり、食材は細かく刻み、できるだけ軟らかいものにしてください。
- 口の中の粘膜を傷つけることがありますので、以下のものは控えましょう。
酒、たばこ、辛いもの(カレーや唐辛子)
固いもの(せんべい、ポテトチップスなど)
熱すぎる、冷たすぎるもの、酸味の強いもの(梅干し、レモンなど) - おすすめの食事
おかゆ、ボタージュスープ、牛乳やヨーグルト、豆腐、ハチミツなど - 熱いお風呂やサウナは避けて下さい。刺激の少ない石鹸を使用し、泡立ててこすらないよう、ぬるま湯で体を洗いましょう。
- 非常にまれな合併症ですが、治療終了後6ヶ月以内に「放射線肺臓炎」が起こることがあります。咳、熱、胸痛や風邪症状がみられた場合にはすぐに受診し医師にご相談下さい。
骨盤部を照射される方へ
- 治療がはじまって2〜3週間すると、おなかの調子が悪くなり、多くの人は下痢気味になります。尿が頻回に出て、トイレに行ってもまたすぐに行きたくなる症状(膀胱炎)が出ることがあります。普通は治療が終れば次第によくなり、1ヶ月ほどで症状がとれます。
- 治療中は繊維成分の少ない食事にしましょう。以下のような食事は控えましょう。
生の果物や野菜
乳製品(バター、チーズ、クリーム類)
香辛料(からし、わさび、こしょうなど)
固い豆類、脂っこい料理やフライ類 - 脱水症状にならないために、充分に水分補給をしてください。各種のスポーツドリンクなどもよいでしょう。
- 下痢がひどい時は、下痢止めの薬がありますので、担当医にご相談ください。
- 皮膚がかゆくなったり、赤くなることがありますが、爪でこすらないように注意し、お風呂にはいるときには刺激の少ない石鹸を泡立ててやさしく洗い流して下さい。
- 肛門部の清潔を保つために、排便後はウォシュレットを使用し、痛みがあるときは軟膏を処方しますので、担当医にご相談下さい。