肝癌
悪性手術症例内訳
肝癌は、毎年日本国内で3万人が発症する原発性肝癌(肝細胞癌と肝内胆管癌)と、他臓器の癌が肝臓へ転移した転移性肝癌に分類されます。原発性肝癌は、B型肝炎ウィルス・C型肝炎ウィルス・アルコール性・NASHなど、発癌母地として障害された肝臓そのものからできるものです。癌の個数が1~3個で肝機能が良いものは治療効果の高い手術治療が第一に選択されます。小さな肝癌に対するラジオ波焼灼術も治療効果が高い方法です。肝硬変などの肝機能不良例や高齢者に対してカテーテル治療であるTAEなどが行われます。肝癌に対する肝移植治療は、臓器移植法が改正されたとはいえ日本におけるドナーの現状を考えると一般的治療とは言い難いと思われます。抗癌剤治療には、分子標的薬のソラフェニブ・レンビマなど経口抗癌剤や、テセントリク+アバスチン・サイラムザなど点滴抗癌剤治療など、つぎつぎに新薬が出て使えるようになってきました。一方、転移性肝癌、特に大腸癌からの転移で数の少ないもの(オリゴ肝転移)は治療効果が高く開腹根治手術が行われます。胃癌・胆道癌・膵癌・乳癌などの肝転移は、症例ごとに判断し抗癌剤治療・手術治療が行われます。
肝癌手術数の年次推移
全症例 | 原発性 | 転移性 | 葉切除 (再掲) |
区域切除 (再掲) |
部分切除 (再掲) |
|
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2008年 | 3 | 0 | 3 | 0 | 1 | 2 |
2009年 | 3 | 1 | 2 | 0 | 1 | 2 |
2010年 | 3 | 1 | 2 | 1 | 2 | 0 |
2011年 | 3 | 1 | 2 | 0 | 2 | 1 |
2012年 | 6 | 2 | 4 | 0 | 1 | 5 |
2013年 | 6 | 1 | 5 | 1 | 1 | 4 |
2014年 | 8 | 2 | 6 | 0 | 2 | 6 |
2015年 | 4 | 3 | 1 | 1 | 3 | 0 |
2016年 | 5 | 2 | 3 | 2 | 1 | 2 |
2017年 | 11 | 7 | 4 | 3 | 3 | 5 |
2018年 | 15 | 8 | 7 | 2 | 2 | 11 |
2019年 | 13 | 6 | 7 | 2 | 4 | 7 |
2020年 | 15 | 8 | 7 | 2 | 5 | 8 |
2021年 | 15 | 6 | 9 | 3 | 1 | 11 |
2022年 | 11 | 7 | 4 | 0 | 0 | 11 |
2023年 | 10 | 7 | 3 | 0 | 0 | 10 |
<一口メモ>
職業性胆管がん;印刷機洗浄剤に含まれた化学物質「1、2ジクロロプロパン」「ジクロロメタン」の高濃度長期間吸い込みが発症原因になりうることより、胆管がん16人に対し厚労省は2013/3/27、労災と認定した。