院内誌まほろば59号
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表紙
「奈良公園の鹿」
奈良公園内の大部分は芝生に覆われ、約1200頭に上る鹿が放し飼いされています。観光客に愛嬌を振りまき、首を縦に振って鹿せんべいをねだる姿が人気を集めています。なお、この公園に鹿が放し飼いされていることには次のような由来があります。
鹿は春日大社の神使であり、春日大社創建の際、茨城県にある鹿島神宮の祭神・武甕槌命が神鹿に乗ってやってきたと伝えられています。(春日大社は鹿島含 め3社の分霊)。それゆえ、奈良公園の鹿は古くから手厚く保護されてきており、神格化していたために手厚い保護の下で、繁殖しています。
この鹿は野生鹿として国の天然記念物に定められており、鹿の一日は泊場、休場、えさ場を30~100頭ほどのグループをつくって巡廻しています。行動範囲 は3~4キロです。このグループは発情期以外、おす、めすが行動を共にすることはありません。えさを食べるときは草原でも寝るときは森林の中を選びます。 おもに東大寺や浮御堂、春日大社周辺や飛火野若草山の林の中で寝ています。撮影/医事課 岡田 真一
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大腸は消化吸収された残りの腸内容物をため、水分を吸収しながら大便にするところです。
結腸と直腸肛門からなります。大腸粘膜のあるところではどこからでもがんができますが、日本人ではS状結腸と直腸が大腸がんのできやすい部位です。大腸が んの罹患率は、50歳代付近から増加し始め、高齢になるほど高くなります。男女とも罹患数は死亡数の約2倍であり、これは大腸がんの生存率が比較的高いこ とと関連しています。
大腸がんの罹患率は、1990年代前半までは増加し、その後は横ばい傾向です。大腸がんの増加には、主として結腸がんの増加が影響しています。結腸がんは 八ワイの日系移民が日本人より高く、欧米白人と同程度であることが知られていましたが、最近では、結腸がん・直腸がんともに、日本人はアメリ力の日系移民 および欧米白人とほぼ同じになっています。生活習慣では、過体重と肥満で結腸がんリスクが高くなることが確実とされています。また、飲酒や加工肉(ベーコ ン、八ム、ソーセージなど)は、おそらく確実な大腸がんリスクとされています。
大腸がんは早い時期に発見すれば、内視鏡的切除や外科療法により完全に治すことができます。少し進んでも手術可能な時期であれば、肝臓や肺へ転移しても、 外科療法により完全治癒が望めます。つまり、外科療法が大変効果的です。しかし、発見が遅れれば、肺、肝臓、リンパ節や腹膜などに切除困難な転移がおこり ます。こうした時期では、手術に加え放射線療法や抗がん剤治療が行われます。
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「熱のはな」、「風邪のはな」といわれているのは「単純ヘルペス(単純庖疹)」という皮膚病で、ウイルスが原因となっておこります。中でも唇の周囲や顔面 (眼の角膜にびらんとなる)に症状がでるのは、単純ヘルペスウイルス型というウイルスが原因で、症状のひとつである水庖は、できてしまうと徐々に大きくな ります。できるまでには、ピリピリした痛み、痒み、チクチクする、熱をもつ、赤く腫れる等の症状がでる場合が多い為このような症状が危険信号となります。 単純ヘルペスウイルスは、普段は神経節に潜伏し存在しており、風邪や疲れ(免疫力の低下)、紫外線(これからの季節注意が必要です)、ストレス等が原因で 発症します。
治療法には、ウイルスの増殖を抑える目的で使われる抗ウイルス薬(内服、外用、点滴)があり、状態や重症度によって使い分けをします。ウイルスの増殖を抑 える薬なのでできるだけ早く使う必要があります。発症して3日目までに使用することが最も有効であると言われています。
単純ヘルペスウイルスによる感染症を根治的に治せる薬は現在ありません。しかし、治療することで症状を緩和し、病気の期間を短縮することが可能となりま す。また抗ウイルス薬による継続的な治療で再発する頻度を抑える事ができると言われています。
症状がでた時は早めの治療を心掛けてください。
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健康志向の高まりや、4月からの特定健診の義務化からメタボリックシンドローム(以下メタボ)が浸透しています。
健診で診断された人、今は健康な入でもメタボにならないよう食生活、睡眠、運動、禁煙で気をつけなければいけませんが、時にTVやlT等の情報から良い と思ったことをそればかり偏って行う傾向がしばしばあられます。ここでは特に食生活の例を挙げます。
ここ最近、黒酢、クッキングオイル、お茶、力ロリーオフの飲料等がもてはやされています。それぞれの効用として黒酢は血中コレステロールの減少、クッキン グオイルは、血中の中性脂肪が上昇しにくく体脂肪がつきにくいのが特徴、お茶もポリフェノールの働きや力テキン等脂肪の消費酵素が活発に働く等実証されて いますが、やはり食事は1日3食の時間を決めて、多種品目の食品をバランス良く摂り、お腹8分目におさえることがメタボの改善に繋がるので摂り過ぎないよ うに注意することが大切です。
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リ八ビリテーション科は、理学療法・作業療法・言語聴覚療法の3部門から構成されています。今回は理学療法についてお話させて頂こうと思います。
理学療法とは、主として疾病・傷害から生じる機能・形態障害(痛み、筋力低下、運動麻痺など)に対し、運動療法を用いて、関節可動域、筋力、協調性など といった身体機能の改善を目標とします。また温熱・水・光線電気などの物理療法を疼痛や循環などの改善を図る目的で使用することもあります。
能力障害が残存している場合、基本動作や日常生活活動を改善するための訓練・指導、そしてよりよい社会生活を送るために住宅改修・環境調整・在宅ケアなども行います。
対象は骨関節障害、神経筋障害、脊髄障害、脳障害、呼吸障害、循環障害など幅広く、また近年では代謝疾患による障害をはじめ、生活習慣病の予防やコント ロール、障害予防、といった分野にも関わるようになってきており、さらに活動の範囲は広まってきています。
このような二ーズにも対応すべく、当院においても糖尿病教室・乳癌術後のリ八ビリテーション・療養介護型専属・メタボ健診に専門の理学療法士を配置する ことで、患者さんがより専門的な指導を受けられる環境を作ると共に、他部門のスタッフと密に連携が図れるよう取り組んでおります。
今後、さらなる高度な医療技術を提供させて頂くためにも、日々研鑚していきたいと考えています。