院内誌まほろば99号
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表紙
「橿原神宮 一の鳥居」
表参道に建つ鳥居で、昭和十四年に建立されました。
中央の主道の両側に橿の並木が植えられ、さらにその両外側に副道が設けられています。100mほどで神橋広場に到着し、宮川にかかる神橋を渡り、二の鳥居を経て南神門広場に至ります。
高さ9.77m、幅約7.5mの鳥居で、御鎮座130年に向けて境内整備を進めていた際に解体され、改修後、参道の元の場所に再び設置されました。撮影 診療情報室 岡田 真一
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「白内障」
眼科医師 西山 武孝
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白内障とは、水晶体が混濁することで視力の低下をきたす目の病気です。白内障は眼球を構成する組織のなかでも、レンズの役割を果たす水晶体という部分が白く濁ることで発症します。白内障の原因の90%以上は加齢です。現代日本では、高齢化の影響もあり白内障の有病率が高まっているといわれ、70代の方の実に80%以上が白内障に罹患していると考えられています。水晶体の加齢性変化自体は突然起こるものではなく、実は10代後半から少しずつ始まっています。加齢による変化はまず30代後半ごろから現れ、水晶体の硬化により弾力性が失われ、ピント調節が難しくなります。これを一般的に老視、老眼といいます。その後更に加齢が進むと、水晶体が着色・白濁して目の奥に光が届きにくくなり視力が徐々に低下します。また、ひずみや膨張により乱視や近視が生じることもあります。
白内障による視機能の障害に対して、古くから混濁した水晶体を除去し、改善を図るという手術が行われてきました。最近では白内障手術用の器械も大きく進歩し、極小切開での超音波吸引が可能となり、術後合併症の心配も少なく安全かつ素早く手術を行うことが可能になりました。また、手術後に水晶体の代替として挿入する人工眼内レンズにもバリエーションが増え、遠近両用の多焦点レンズを眼内に挿入することも可能になりました。
当院でも設備を整え、白内障手術を行っていますので、見え方が気になる方は一度受診してみてください。
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「点眼の色々な注意点」
薬剤部 末吉 賢也
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皆さんは、ご自身が目薬を差す際に正しく使用できている自信はありますか。普段何気なくしている点眼にも色々な注意点があり、正しく使用しないと効果が無くなったり、眼に悪影響を及ぼすこともあります。そこで今回は点眼の色々な注意点についてお話したいと思います。
まず、一番よく見かける間違いは何滴も眼にたらすことです。実は一滴で眼の表面は完全に満たすことができるので、何滴たらしてもほとんどは眼から流れ出るだけになります。これで悪影響があるわけではありませんが、もったいない気がしますよね。ですので、点眼の際には一滴たらした後目頭をおさえながら、まぶたを1分程度閉じることで眼の表面に液を保持することが正しい点眼の方法となります。
また、点眼瓶と眼の距離も重要なポイントです。というのも、点眼の際に瓶の先がまつ毛や眼に触れてしまうとまつ毛などについている菌が液に混じってしまい、液が汚染されてしまうことがあるからです。ですので、しっかりと瓶と眼の距離を保って点眼し、外したキャップも清潔なティッシュなどの上に置き、常に液を清潔に保つことも大切です。
ほかにも、複数点眼する際は5分程度間隔をあけて使用する事や、点眼の種類によっては振ってから使用する必要があるものなどもあります。疲れ目やドライアイなどで使用する機会の多い点眼ですが、正しく安全に使用して大事な眼を守ってくださいね。
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「レッツ減塩!」
管理栄養士 寺本 陽美
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厚生労働省が定めている一日あたりの塩分摂取量の目標値(成人)は、男性で7.5g/日未満、女性で6.5g/日未満です。昨今の健康ブームで摂取量は減少傾向にありますが、実際は男性で11g/日、女性で9.3g/日と、随分多いことがわかります。
日本食には塩が多く使われています。しかし、塩分の摂り過ぎは高血圧の原因となり、心臓疾患や脳卒中などのリスクが上がります。予防するには日頃から減塩を心がけることが大切です。昆布や鰹節など、出汁の旨味を使うことも減塩の一つです。
他にも卓上の調味料を置かないことや、調味料はかけて食べる→小皿に移してつけて食べることも減塩に繋がります。
味噌汁は具沢山にして汁物は少なくすることもおすすめです。野菜や果物に多く含まれるカリウムは、ナトリウム排泄作用があるので積極的に摂りましょう(腎臓疾患のある方は摂り過ぎ注意)。ノンオイルドレッシングは脂質が抑えられている分、塩分が多いので注意が必要です。練り製品や加工品、漬物などは目に見えない塩が含まれているため、知らぬ間に摂り過ぎてしまう傾向にあります(exハム2枚:食塩1g、梅干し1個:食塩2gなど)。胡椒やレモン、わさびなど香りや風味を活かすことも大切です。これからも健康な日々を送るために、皆んなでレッツ減塩!頑張りましょう!
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リンパ浮腫「圧迫療法と運動療法」
リハビリテーション科
理学療法士 中田 奈月 -
リンパ浮腫の保存的治療では、基本の4つの治療法があり「スキンケア・医療徒手リンパドレナージ・圧迫療法・圧迫療法下での運動療法」があります。今回はその中で圧迫療法と運動療法についてご紹介したいと思います。
圧迫療法では、リンパドレナージで排液したリンパ液が重力の影響で元に戻らないために十分な圧迫を行います。症状や部位に応じて弾性着衣、弾性包帯などを用います。圧迫療法に用いるストッキングは足首の圧が最も強く、中枢に近づくほど圧が弱くなるような仕組みになっています。早く治したいと強い圧の物を使用すると、血管や筋肉を傷つけてしまう可能性があり、症状の悪化や炎症を起こす原因にもなります。また、履きやすいからと圧の弱いストッキングを着用するのも十分に効果が得られない場合もあります。そのため、症状に応じて適切な圧のストッキング使用をする必要があります。リンパ浮腫では皮下組織に線維化が生じるため、必要な圧迫圧は約30~50mmHgとされています。
次に運動療法では、呼吸や関節運動、有酸素運動で筋ポンプ作用を利用することで、リンパ系が活性化し、リンパ流も促進できると言われています。更に圧迫した状態で運動を行うことでより効果を発揮します。運動療法といっても強い負荷のかかる運動ではなく、散歩や屈伸運動など日常生活の中で毎日できる運動から始めていただきます。
リハ科では、これらを個々のライフスタイルに合わせて治療を行っています。今回はこの2つを紹介しましたが、機会があれば他の治療についても紹介できればと思います。