院内誌まほろば97号
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表紙
「桜吹雪」
曽我川は、竜門山地の重阪峠西側に発し、奈良県中西部を流れる大和川水系の一級河川です。奈良盆地西部を多く北流する大和川の支流の一つで、中流域では最大の支流です。古代には宗我川と綴っていました。また重阪川、百済川などの異称もあります。
撮影 リハビリテーション科 山本 成敏
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「ウィルスの変異について」
臨床研修医 増永 智哉
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現在、新型コロナウィルス(COVID-19)が世界的に流行しています。日本では最近、変異株への感染が増えていると報告されています。ここで、ウィルスの変異とはどういったものかを記載させて頂こうと思います。
まずウィルスの構造についてです。ウィルスは核酸(ウィルス核酸 DNAやRNA)とタンパク質の殻(カプシド)からできておりそのさらに外側に様々な構造をもっています。
例えると核酸(DNA,RNA)は設計図のようなものです。ウィルスが人の体に入るとこの設計図をもとにアミノ酸が作られアミノ酸がつながっていきタンパク質となってウィルスの体ができあがり、増えていきます。
しかし何度もコピーするうちに、設計図の文字の印刷ミスのようなものがおこります。「UUA」という文字列だとロイシンというアミノ酸になるはずが「UCA」とするとセリンとなってしまいます。このように、元の設計図と違うタンパク質ができたりなくなったりしてしまうこと、これが「変異」です。現在注目されているコロナウィルスの変異N501Yとは501番目にあるアミノ酸がN(アスパラギン酸)であるはずがY(チロシン)に変わっているということです。この変わってしまったタンパク質というのはスパイクタンパク質(糖タンパク)と言われています。スパイクタンパク質はウィルスの殻の表面についている鍵のようなもので、人の細胞のACE受容体という鍵穴を通して結合するとされており、これが変異ウィルスが感染力が強いとされる理由であると考えられています。
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「肩こりに葛根湯」
薬剤師 末吉 賢也
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「肩こりに葛根湯」と聞くと、皆さんはどう思われますか。「葛根湯はかぜ薬なのに肩こりとどういう関係があるの?」と疑問に思われる方が多いと思います。実際には、葛根湯はかぜの初期の発熱や寒気などに加えて慢性頭痛や肩こりに効果があります。このように葛根湯に限らず、漢方薬には様々な種類の生薬が含まれており、その組み合わせにより多くの効果を発揮します。そこで今回は、あまり知られていない葛根湯の色々についてお話しいたします。
昔からかぜ薬としてなじみの深い漢方薬の一つである葛根湯ですが、どのようにして肩こりに効果を発揮するのでしょうか。そもそも肩こりはストレスや外気の冷えなどによって身体の中をめぐっている血液がスムーズに流れずに淀むことで起こります。これに対し、葛根湯は血行を促進し、血液の淀みを改善することで肩こりに効果を発揮します。
しかしながら、肩こりといっても微妙な部位の違いによって葛根湯が効かない場合もあります。首筋の縦長の肩こりには葛根湯などに含まれる「葛根」が有効ですが、首から肩にかけての横長の肩こりに関しては「柴胡」や「芍薬」を含む漢方薬が有効となることが多いです。
昨今では、外出自粛の影響で心身ともに不調となる方が多くなってきていますし、在宅ワークの影響で肩こりに悩む人も増えていますので、自分の体調や症状に合わせて漢方薬も適切に活用しながらコロナ禍を乗り切りましょう。
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「腸活のススメ」
管理栄養士 辻本 牧子
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全身にエネルギーの源を送る出発点となる腸は、体の要ともいえる臓器です。また、腸には体全体の7割の免疫細胞が集まっているといわれており、体の免疫機能にとっても重要な役割を果たしています。その腸がキレイになれば、疲れにくくなる、風邪をひきにくくなる、肌がキレイになるなど、いいことづくめです。
便秘解消に役立つ成分の代表ともいえる食物繊維。食物繊維には水に溶けない不溶性と水に溶ける水溶性があります。不溶性食物繊維は水分を吸って膨らみ、便の嵩を増やすことで腸の蠕動運動を促します。水溶性食物繊維は水を含むとゲル状になり、便の水分を増やして軟らかくするという働きがあります。食品中には不溶性食物繊維の方が多く含まれており、水溶性食物繊維は摂りづらい傾向にあります。水溶性食物繊維(ネバネバ食材等)を意識的に摂ると食物繊維のバランスが整いやすくなります(不溶性2:水溶性1)。
乳酸菌・発酵食品は、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整えます。善玉菌のエサとなり、活動を活発化させるオリゴ糖や乳糖といった糖分を一緒に摂るのもオススメです。
腸内環境をよくするためには、便を溜め込まないように自律神経を整えることも大切です。副交感神経を高め、蠕動運動を促しましょう。温かいものを食べてほっこりすること、ゆっくりよく噛んで食べることでも副交感神経が働きます。
腸は単なる消化器官ではなく健康にとって重要な臓器です。腸をキレイに整え、快適に過ごしましょう。
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「有酸素運動の話」
リハビリテーション科
理学療法士 本田 拓馬 -
新型コロナの流行・新しい生活様式が始まって一年以上が過ぎましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?私自身は、もれなく運動不足に陥り「健診結果」にしっかりと現実を突きつけられたところです。そんな事で今回のテーマは「有酸素運動」にしてみました。
有酸素運動とは、好気的代謝によってヘモグロビンを得るため長時間継続可能な軽度または中程度の負荷の運動とされています。有酸素運動はエネルギー源として脂肪を燃焼させる際、酸素を必要とします。反対に無酸素運動というのは糖が主なエネルギー源で、酸素は必要としません。
有酸素運動を行う事は様々な健康促進効果が期待でき、冠動脈疾患、高血圧、大腸がん、2型糖尿病、骨粗鬆症の発症率低下や、脳・記憶の活性化などが報告されています。
具体的な有酸素運動の例としてはウォーキング、ジョギング、エアロバイクなどですが、巷ではよく「20分以上の運動が必要」と言われています。しかし5~10分でも脂肪は消費されているのです。厳密にいうと運動後20分までは血中の脂肪、20分後からは皮下脂肪や内臓脂肪が主に消費されるのです。ある研究では5〜10分の有酸素運動でもこまめに行う事で体脂肪が減るという報告もあります。まずは短時間でも毎日こまめに継続できる運動を始めることが大切です。
さらにダイエット効果を求めるなら、筋トレ(無酸素運動)→有酸素運動の順に運動すると脂肪燃焼効果は高いとされていますので参考にしてみてください。