院内誌まほろば96号
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表紙
「唐子・鍵遺跡」
唐古・鍵遺跡は、約2,000年前の弥生時代に奈良盆地の中央に位置していた日本最大級の集落の遺跡です。
環濠に囲まれ、約42万㎡(甲子園10個分)という大きな面積を誇り、約700年もの間途切れずに集落として存在し続けていたことなどが分かっています。
また、大きな建物があったことを表す遺構や、土器をはじめたとした多くの遺物が出土しています。撮影 脳神経外科 部長 仁木 陽一
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「尿路結石について」
泌尿器科 冨岡 厚志
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泌尿器疾患の中で頻度の高い疾患のひとつに尿路結石症があります。腎結石は無症候が多いですが、尿管に落下し水腎症が発生すると側腹部痛の激痛が生じます。男女比は2.4:1で男性に優位で、男性は40歳代、女性は50歳代にピークがみられます。年間罹患率(2005年)は人口10万人あたり134人で、男性は7人に1人、女性は15人に1人が一生に一度は尿路結石に罹患し、5年以内の再発率は45%といわれています。また肥満、糖尿病、高血圧といった生活習慣病や外気温の上昇が結石の発生と関係があるとも報告されています。
結石の自然排石率は5㎜未満で68%、5-10㎜の結石は47%といわれていますが、自然排石を認めない結石や10㎜以上の結石では砕石治療をすすめており、最近は体外衝撃波結石破砕術(ESWL)よりは経尿道的結石破砕術(TUL)を行っています。
結石の成分はシュウ酸カルシウム結石が多く、結石の予防としては1日2000ml以上の飲水をすすめており、食事としてはシュウ酸(葉菜類の野菜、タケノコ、紅茶、コーヒー、チョコレートなど)、高プリン体(肉類、魚介類、ビールなど)、動物性脂肪・タンパク質、塩分などの摂取制限があります。またシュウ酸とカルシウムを一緒に摂取すると便とともに排出されるので予防になります。(ホウレンソウ+ちりめんじゃこ、コーヒー・紅茶+牛乳など)。
結石を予防するには規則正しいバランスの良い食生活と十分な水分摂取、定期的なメディカルチェックをお勧めします。
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「ハンドクリーム」
薬剤師 福井 麻樹
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空気の乾燥、感染症予防の手洗い・アルコール消毒など、冬は1年を通して最も手荒れが起きやすい季節です。手は日常的に刺激を受けることが多く、皮膚へのダメージが保湿機能の破綻に繋がり、乾燥や荒れを引き起こします。手荒れの予防のためにも、普段より保湿作用をもつハンドクリームなどで手をしっかりと保湿することが大切です。今回はハンドクリームに使われる医薬品ついてお話します。保湿剤として一番聞いたことがあるでしょう白色ワセリンは油分が被膜となって皮膚表面を覆い、水分の蒸散を抑えることによって保湿効果を発揮します。赤ちゃんや唇に使用できるほど安全で水で洗っても取れづらく、保湿効果が持続します。ヒルドイドソフトクリーム®は主成分のヘパリン類似物質が水分保持能を補います。また保湿作用の他にも抗炎症作用や血行促進作用も合わせもっているため、しもやけのような血流が悪くなっている方におすすめです。ウレパールクリーム®は主成分の尿素により水分保持能を補うだけでなく、硬くなった皮膚を軟らかくする作用も持つため、紙類をよく触ったり、水仕事をして指先などが硬くなっている方に適しています。その他にはビタミンやステロイドなどが配合されたものもあり、ドラッグストアで安価で手に入れることができます。
コロナウイルスの勢いが収まらない現在、感染症予防として手洗い・手指消毒はかかせません。感染症予防とともに手荒れ予防として小まめに保湿を行い、乾燥を防ぎ寒い冬を乗り切りましょう。
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「行事食 節分・ひなまつり」
管理栄養士 辻????本 牧子
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豊かな自然に恵まれている日本は、昔からその季節の旬の食材や味わいを大事にしながら、祭事や行事に伝わる伝統的な行事食があります。
無病息災や子孫繁栄、子供の成長、家族の健康や幸せを願う意味が込められているものが多く、由来や起源などは行事によって様々です。
2021年の節分は、2月2日でした。2月3日でなくなるのは、1984年(昭和59年)2月4日以来37年ぶり、2月2日になるのは1897年(明治30年)以来124年ぶりのことです。現代は、国立天文台の観測によって「太陽黄経が315度になった瞬間が属する日」を立春としています。日付の変動は、地球の公転周期が約365.2422日と、1年間の365日から微妙にずれているために生じます。2022~24年の節分は、2月3日に戻りますが、2025年は再び2月2日になるようです。
節分では、豆まきを行います。古来より日本では穀物には、「邪気を払う力がある」とされています。豆(まめ)には、魔滅=魔物を滅するという意味もあり、豆を鬼にぶつけることで邪気を払い、無病息災を願うようになったといわれています。豆まきのために炒った豆は「福豆」と呼ばれ、豆まきの後で食べることで体に福を取り込み、一年間健康に過ごせるといわれています。また、「恵方を向いて丸かじりして無言で食べ切れば、願いがかなう」といわれる恵方巻きは、その年の福を司る神様、歳徳神のいる恵方を向くことで無病息災や商売繁盛を願います。今年の恵方は、「南南東やや南」です。昔は、初めての事を行うときは恵方に向かって行うとよいとされていたようです。
3月3日は、上巳の節句 ひな祭りです。ひな祭りに食べる菱餅は、上から桃、白、緑の三色です。桃は「魔除け」、白は「清浄」、緑は「健康」を意味しています。「雪から新芽が出て花が咲く」というように春を表現しており、子供が健やかに育ってほしいという願いがこめられています。また、桃白緑に黄色を加えたひなあられは、四季を表しています。一年を通じて幸せを祈り、食べることで自然のエネルギーを体内に取り込むことができるといわれています。ひなあられは、関東では甘いポン菓子が、関西では塩味のおかきが主流のようです。食べ比べてみるのも楽しいですね。
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「痩せる呼吸法」
リハビリテーション科
理学療法士 中辻 裕一 -
皆さんは普段の生活で自分の呼吸に意識をむけていますか?
今はコロナの影響もあり生活や仕事で緊張が続き、周りの環境ばかりに意識が向き、自分の呼吸が浅くなっていることに気づかないと思います。また自粛続きで活動量も低下し、エネルギー消費ができず体型維持や健康面が不安になる方が多いと思います。
そんな時でも呼吸を変えるだけで簡単にエネルギー消費量をUPさせ、脂肪を燃焼させることができます。
私たちの体は、体内に取り入れた酸素の助けで脂肪を燃やすという仕組みになっています。
仕事や生活で、呼吸が浅く短くなると、肺の中に酸素を取り入れる量が少ない状態になっています。しかし呼吸に意識を向け、深く長くすれば仕事や生活動作でもエネルギーを消費させ脂肪を燃焼しやすくなります。
今回は、簡単に呼吸法についてお話します。人間の呼吸には「胸式」と「腹式」の2種類があります。胸式呼吸は、肋骨の間にある肋間筋を働かせる呼吸で、日中や緊張モードのときになりやすく浅く短い呼吸になりやすいです。
腹式呼吸は、横隔膜の上下運動による呼吸で就寝中やリラックスモードのときになりやすく、深く長い呼吸になります。
今後もコロナの影響で現在の生活がいつまで続くかわかりませんが、日常生活や仕事中もしっかりと自分の呼吸に意識をむけて、腹式呼吸を多くするだけで、自然と脂肪が燃えやすい体に変わるのでぜひ試してみてください。