院内誌まほろば93号

表紙

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「本栖湖 赤富士」

 

 

 本栖湖は、富士五湖の中で一番深く透明度の高い湖で、天気の良い日には日没直前に赤富士が楽しめます。
 山中湖、河口湖に比べ観光客は少なめですが、写真愛好家が富士山を撮影しようと訪れています。ちなみに、千円札の裏にある「逆さ富士」は、この湖から撮影されたものです。
 秋には紅葉、冬はヒメマスと、四季折々に楽しめます。

撮影 リハビリテーション科 武田 将直


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「がんゲノム医療」

病理診療科 堤 雅弘

 近年のゲノム(DNA塩基配列がもつ遺伝情報の総体を表す用語)科学の目覚ましい進歩により、疾病メカニズムの解明、治療標的の同定、治療薬の開発が驚くほどの速さで進められています。癌は複数の遺伝子異常をもとに発生する疾患で、多くの研究から種々の癌で発生や進展に重要な役割を果たすドライバー遺伝子の異常や分子標的治療の対象となる遺伝子変異が明らかにされています。そして、癌のゲノム情報が研究ではなく臨床検査として解析され、その結果に基づいた診療を行う「がんゲノム医療」が行われるようになっています。現在、当院においても分子標的薬の効果などを投与前に予測する検査であるコンパニオン診断が乳癌や肺癌などを対象に実施され、その結果に基づいて個々の癌に適切な治療薬が選択されています。更に近年、多数の遺伝子異常を網羅的に解析できる次世代シークエンサーの登場により、2018年2月に「がんゲノム医療中核拠点病院」が全国に11ヵ所整備され100個以上の遺伝子を解析する遺伝子パネル検査が行われています。シークエンサーにより得られたデータは特殊なコンピュータープログラムで解析され、得られた解析結果に対して臨床的な意義づけを行う専門家会議(エキスパートパネル)が開かれ、検出された遺伝子異常の意義や遺伝子異常に対応する具体的な候補薬などが検討され、その結果が担当医に伝えられるとのことです。このような拠点病院での網羅的な遺伝子パネル検査はプロファイリング検査と呼ばれていますが、確立された治療薬の選択に有用な遺伝子パネル検査としてはホットスポットパネル検査があり、こちらは当院においても利用可能です。


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「がん関連遺伝子治療薬の使用と今後の課題」

薬剤師 井口 倫明

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 昨今、遺伝子解析技術の進歩により、がんの原因となる様々な遺伝子変異が相次いで発見されてきました。ある種の遺伝子陽性あるいは変異を有するがんを標的(ターゲット)とした抗がん剤も作られており、今後、がん遺伝子(ゲノム)医療はますます発展していくものと思われます。
 ここで比較的最近の話題をひとつ。
 我々の体の中では、DNAを複製する過程において起こる間違い(エラー)を修復する機能が備わっていますが、中には遺伝学的にこうしたDNA修復機能が低下している状態にある方がおられます。間違いが修復されずに異常が積み重なると、細胞のがん化を引き起こしてしまいます。前述のような遺伝学的なメカニズムにより発症された方のがん(固形癌全般)に対して適応追加となった薬剤が免疫療法薬に分類されるキイトルーダ R というお薬です。かなりのがん種に使用可能であり、朗報と言えます。
 ただし、大きな留意点もあります。それは、上記の遺伝子を有する方の血縁者(親や子など)も同じ遺伝子を有する可能性があるということです。こうした背景もあり、遺伝カウンセリングの必要性が重要視されています。
 遺伝子という非常に繊細かつ秘匿されるべき最大の個人情報を扱うにあたっては、細心の注意を払う必要があるのです。
 我々は今、こうした新たな課題に直面していると言えそうです。


「冬の栄養と基礎代謝」

管理栄養士 寺本 陽美

 冬は「寒くて外に出たくない」と思われる方がほとんどだと思いますが、冬こそ人間の体が代謝されやすい=痩せやすい季節なのはご存知ですか?冬は、本来身体が体温調節をすることでエネルギー消費が多くなり、夏よりも基礎代謝が上がります。
 しかし、ここで注意しなければいけないことは、基礎代謝の上昇が痩せやすい身体を作るわけではないということです。冬の寒さから身を守るために人間は栄養を蓄えようと、冬眠状態になるため太りやすくなります。また身体が冷えると基礎代謝は下がってしまいます。
 そこで、脂肪を燃焼させるために必要な栄養素がレバーやうなぎ、納豆に含まれるビタミンB2。また中性脂肪となって蓄えられる余分な糖質の代謝には豚肉や玄米、大豆に含まれるビタミンB1が必要です。そして太りにくく、痩せやすい身体を作るためにはタンパク質も必要不可欠です。
 私たちの筋肉の約80%はタンパク質で出来ているため、無理な食事制限では筋力や、脂肪を燃焼させる力も低下します。「特異動的作用」とよばれる食べ物を胃や腸で消化・吸収するためのエネルギー消費の働きがありますが、タンパク質はより多くのエネルギーを消費することが分かっています。
 寒いこの季節はバランスよく食べることはもちろん、身体の中から温める効果のある生姜や、とうがらしなどの食材を上手く使うこともおすすめです。
 栄養をしっかりとり、寒さに負けない身体を作りましょう。


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「認知症の神経心理検査」

リハビリテーション科
言語聴覚士 原 真理子

 

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 75歳以上のドライバーは運転免許更新時に認知機能検査を受けることが必須となりました。検査にて記憶・判断力の低下が認められた場合、専門医による診察・診断書の提出が必要となります。
 リハビリテーション科では診察の一環としてHDS-R、MMSE、MOCA-Jという3種の検査にて評価を行っています。HDS-R(改定長谷川式簡易知能評価スケール)はスクリーニング目的に記憶を中心とした9問で構成され、20点以下は認知症疑いとされています。MMSE(Mini-Mental State Examination)は記憶に加え口頭指示理解や書字、図形模写という言語能力や構成能力といった高次脳機能に関する能力を測ることができます。23点以下は認知症が疑われます。この2種の検査でのカットオフ値をクリアされた方に対してはMOCA-J(Japanese version of Montreal Cognitive Assessment)を追加し実施しています。視空間・遂行機能、命名、記憶、注意力、復唱、語想起、抽象概念、遅延再生、見当識からなり25点以下が軽度認知障害(MCI)とされています。
 HDS-Rはアルツハイマー型認知症、MMSEは脳血管性認知症が検出されやすいといわれていますが、合計得点だけでなく得点項目の構成を検討することが今後の生活の留意点を推測するポイントとなります。

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