院内誌まほろば89号

表紙

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「鹿の角きり行事」

 

 

 「鹿の角きり」は、1672(寛文12)年に鹿の角による事故を防止するため、奈良奉行の溝口信勝の命によって始められた、鹿と奈良の人々との共生の中で受け継がれている伝統行事です。
 捕まえられたオス鹿は、ゴザの上に寝かされ、神官役は興奮した雄鹿の口に水差しの水を含ませて雄鹿の気を静めてから、ノコギリによって鹿角を切り落とします。
 その後、鹿は神様のお使い「神鹿」とされてきたことから、切り落とされた角は神前に供えられます。
 ちなみに、この時期の角は人でいうと爪のようになっており、血管や神経は通ってませんので、出血や痛みはありません。翌年には新しい角が生えてきます。

撮影 脳神経外科部長 仁木 陽一


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「冬でもブーツを履く人は水虫にかかりやすい」

皮膚科科部長 高 淑子

 水虫は、白癬菌というカビの一種が皮膚の角質や爪に感染して発症します。日本人の5人に1人は足白癬を、10人に1人は爪白癬に罹患しているとされています。白癬菌は暖かく湿った場所を好みますので、梅雨時期から夏にかけて発症しやすく、一日中革靴を履き続ける男性に多くみられました。しかし女性も社会進出が進み、特に冬期にはブーツやタイツを長時間履く人が増えたため、水虫を発症する人が増えました。白癬菌は、家庭内はもちろん、公衆浴場、プール、スポーツジム、飲食店の座敷、共用スリッパや靴など種々の場所に潜んでおり、皮膚に触れ12時間以上密着すると、角質内に侵入して感染します。菌が付着しても毎日石鹸でしっかり洗うことで、取り除くことができます。特に足の趾間部は丁寧に洗う必要があります。水虫の人から家族への感染を予防するためには、じゅうたんや畳を掃除機でこまめに掃除して、浴用タオル、スリッパ、足ふきマットは家族と共用しないようにして下さい。水虫に感染したら外用剤で治療をしますが、症状がなくなっても1か月以上は続けることが大切です。爪白癬などでは内服薬を使うこともあります。ブーツや靴の中に角質と共に脱落した白癬菌は、何か月も感染力があります。再感染を予防するためには注意が必要です。


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「爪白癬治療薬クレナフィンについて」のお話

薬剤師 松岡 晃子

 寒くなってくるこの季節、ブーツなどを履くことにより足白癬(俗称:水虫)になりやすいと言われています。足に生じたものを足白癬、爪に生じたものを爪白癬と言うなど、生じる部位によって呼び方が変わります。今回はその白癬でも爪白癬に使われる薬「クレナフィン」についてのお話です。
 今までの代表的な内服薬はイトリゾールやラミシールでした。これらは副作用で肝機能障害があり、イトリゾールに関しては他の薬との飲み合わせが悪い薬が多く、飲み方も1日2回食直後で1週間連続服用した後3週間服用しないサイクルを繰り返すという、人によっては使いづらいものでした。しかしクレナフィンは、液体の入った容器の先についたハケで罹患している爪全体に薬を塗る外用薬になるので、飲み合わせや肝機能障害などは気にしなくてよくなり、爪に塗るのも連日、1日1回でよいので自分の生活パターンに合わせて薬を使うことができます。
 爪白癬の治療は新しくきれいな爪に生え変わるのを待つもので、症状によっては爪がきれいになるのに約6ヶ月から1年以上かかることもあるようです。このように長い治療期間がかかるため、副作用も少なく、飲み合わせを心配しなくてもよいクレナフィンの登場は画期的といえそうです。


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「生活行為における作業療法士の役割」

リハビリテーション科
作業療法士 栗原 奈緒

 

 みなさん、「生活行為」と聞くとどんなことが思い浮かびますか?それは「人が生きていくうえで営まれる365日24時間連続する生活全般の行為」と定義されています。難しいですね…。もう少し簡単にすると、定義にもあった「生活全般の行為」とは、①日常の身の回り(トイレ、入浴、更衣、食事など)、②家事、③仕事、④余暇活動、⑤地域活動、の5つに大きく分けられます。つまり、普段私たちの生活の中には「生活行為」の連続で成り立っているのです。また、その人にとって「意味のある・したい生活行為」を毎日の生活で続けることによって生活習慣を習得・維持することで元気でいられます。例えば、主婦の方だと、料理や掃除などの家事が大事だったり、男性の方だと、仕事を生きがいと感じている方も多いかと思います。しかし、老化や病気などにより、これまでできていた生活行為が困難になることもあります。また、それらにより生活様式が変化し、生活行為の作り直しが必要となることもあります。そこで、再び生き生きとした生活を送るために支援のあり方を提案するのが作業療法士です。私たちは、将来の生活を見通し、基本的な運動能力から社会適応まで、生活するために必要な能力の獲得を目指し、その人なりの生活の方法を一緒に考え、習得を支援します。作業療法士は、本人と社会を繋ぐためあらゆる場所で活躍しています。
 みなさんも一度、大切にしている「生活行為」を考えてみませんか?

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