院内誌まほろば84号
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表紙
「国史跡 竹田城跡」
竹田城跡は、山城遺跡として全国でもまれな完存する遺構で、虎が臥せているように見えることから「虎臥城(とらふすじょう・こがじょう)」とも呼ばれています。
よく晴れた早朝に朝霧が発生することがあり、雲海に包まれた姿は、まさに天空に浮かぶ城を思わせ、「天空の城」・「日本のマチュピチュ」とも呼ばれるようになりました。
この幻想的な風景を一目見ようとたくさんの人々が訪れ、平成24年に竹田城跡が「恋人の聖地」として認定を受けました。恋人の聖地にあやかろうと、若いカップルたちも多く訪れています。撮影 リハビリテーション科 武田 将直
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「プライマリケアって何」
総合診療科 医師 大住 周司
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プライマリケアって聞いたことありますか。私は専門分野を持たないただの医師ですので、病気についてとやかく話す専門知識は持ってはおりません。ですので、今回は病気のことは置いといて、プライマリケアについて話します。詳しい話は、声をかけて頂ければ時間のある時に楽しく話しましょう、答えのない領域なので、みなさんそれぞれの思いが、いいプライマリケアに向かう答えにつながるヒントになる可能性を秘めていますから。
日本においてプライマリケアが学会を持ったのは歴史が浅く、1979年のことです。徐々に会員数は増え、現在は4000人を超えてきております。プライマリケアの定義はとか聞かれるとすごく困るのですが、1996年アメリカ国立科学アカデミーが定義したものでは、「患者の抱える問題の大部分に対処でき、かつ継続的なパートナーシップを築き、家族及び地域という枠組みの中で責任を持って診療する臨床医によって提供される、総合性と受診しやすさを特徴とするヘルスケアサービスである」。んー漠然で読む気にならないですね。
プライマリケアには5つの理念があり、それがこの文章に集約されているのです。5つの理念とは、Ⅰ.近接性Ⅱ.包括性Ⅲ.協調性Ⅳ.継続性Ⅴ.責任性です。次回はこれらについて一つずつ解説してみます。
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「花粉症の薬について」のお話
薬剤師 杉浦 右真
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これからの季節は花粉症に悩まされる方が多いのではないでしょうか。実は、スギ花粉症は日本人の約3割が罹患しているといわれています。今回は、花粉症の治療薬の一つである抗ヒスタミン薬について説明したいと思います。
花粉症の薬は、病院に受診してもらうより、直接薬局やドラッグストアへ行き購入する場合も多いと思います。このように医師の処方なしに購入できる医薬品をOTCといいます。
抗ヒスタミン薬は抗アレルギー作用が強いが副作用として眠気も強い第一世代と、中枢移行が少なく眠気が少ない第二世代があります。OTCの抗ヒスタミン薬の多くは第一世代を含有していますが、アレグラやクラリチンのように第二世代を含有したOTCも販売されているように、抗ヒスタミン薬は、副作用が出にくく服用しやすいものが増えてきているのです。
しかしながら第二世代抗ヒスタミン薬であっても眠気を引き起こす可能性は十分あります。アレグラとクラリチンは添付文書に記載はありませんが少ないながらも眠気の副作用が報告されており、重大な事故につながる恐れがあるため、自動車運転などの危険を伴う機械の操作には注意が必要です。
手軽に購入でき身近に感じるOTCですが、服用する時は決して自己判断せず、医師や薬剤師に妊娠中や授乳中、持病やアレルギー、既往歴、症状、他の服用薬などを正確に伝えましょう。薬の副作用を十分に理解し、この季節の花粉症を乗り切りましょう。
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「しょうが」
管理栄養士 藤本 幸余
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まだまだ続く寒い時期に食事で体を温めることは大切です。脇役ながら活躍の幅が広いしょうがに保温効果があることは昔から一般的に知られています。しょうがの機能性成分の大きなものがジンゲロンという辛み成分と、ショウガオールという香り成分です。しょうが特有の香りと辛みは食欲を増進させるとともに、胃液の分泌を促進させて消化を助けます。ジンゲロンには殺菌作用があり、血行を良くする働きもあります。また体内の脂肪分解を促す酵素を活性させ、脂肪を燃焼させやすくする働きもあり、ダイエットの効果が期待できます。ジンゲロンを加熱すると、一部がショウガオールの成分に変化します。ショウガオールには体を深部から温め、血行を改善する効果があります。また肉類と調理すれば肉が柔らかくなり、たんぱく質の消化を助けてくれます。しょうがのすりおろしなど生で食した場合には体の深部が冷える恐れがあるため、冷えの解消のためには加熱されたものをおすすめします。さらに、しょうがを乾燥・加熱するとショウガオールの成分が増えるので、天日干しされたものや、市販の粉末などを利用するのもよいでしょう。ただ、しょうがそのものに栄養素は多くありません。魚・肉類や野菜と一緒に調理して十分な栄養をとるようにしてください。またしょうがのとり過ぎは胸やけなどを起こすので適量を心がけましょう。身近な食材で温かな食生活を工夫してください。
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「脊柱起立筋のはなし」
リハビリテーション科
作業療法士 中岡 果林 -
脊柱起立筋という筋肉をご存知ですか。身体の背面にあり、首元から骨盤まで脊柱の両側を縦走する長く細い筋肉のことをいいます。胸最長筋、胸腸肋筋、腰腸肋筋など複数の筋肉が集まってこの名前で呼ばれています。
主に背中を後ろに反らせたり、身体を横に傾けたりする作用がありますが、脊柱起立筋はその形と付着部位から、「姿勢保持筋」と言われています。
「姿勢保持筋」とはその名の通り、姿勢を保つための筋肉です。立った姿勢・座った姿勢で身体の背面にある脊柱起立筋は、身体を起こした姿勢を保つために働きます。
この筋肉が疲労することによって、姿勢が崩れ、腰痛や肩こりなどの慢性時痛につながる原因となります。デスクワークや立ち仕事が続き、背中がこっている…と感じた方のために、脊柱起立筋のストレッチをいくつか紹介したいと思います。
注意点として、腰痛のひどい方や、脊柱の疾患をお持ちの方は痛みが起こらないように十分注意して下さい。
「脊柱起立筋のストレッチ方法」
①仰向けの姿勢から両膝を抱えて頭のほうに引きつけて、背中を丸めます。
②四つん這いの姿勢からお腹をへこませて背中を丸めます。首だけが曲がらないように気をつけてください。
③床に座り、膝は軽く曲げ両足を左右に開いた姿勢から、おへそを覗き込むように背中を丸めます。
背中や腰が伸びている感じがすればOKです。力が入りすぎないよう息を吐きながら、痛みのない範囲で無理なく行ってくださいね。