院内誌まほろば83号
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表紙
「イルミネーション IN かしはら COSMIC OF ADVENTURE」
橿原市は市制60周年を迎え、今年は市内各地で色々なイベントがおこなわれてきました。
近鉄八木駅一帯では、「COSMIC OF ADVENTURE」をテーマに、昨年よりきらめきを増したイルミネーションで駅一帯を彩られています。
高さ約20mの照明柱をツリーに見立てて、イルミネーションが施される他、街路樹や植え込み、街灯なども色とりどりの輝きに包まれています。撮影 診療情報室 岡田 真一
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「乳がん」
乳腺外科医師 三宅 佳乃子
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今回は乳癌についてのお話です。日本では乳癌が増加しており、女性が罹患する癌の第1位になっています。毎年約7万人の人が乳癌にかかっており、女性11人のうち1人が乳癌になると言われています。
しかし、5年生存率は91.1%と比較的高いという特徴もあります。まずは適切に診断し、治療につなげることが重要です。最近ではテレビなどで乳癌の報道が増え、自分も乳癌ではないかと不安に感じる方が増えている印象があります。不安を解消するためにまずできることとして、自己検診があります。乳癌は自分で発見できる数少ない癌の一つです。自己検診の方法は①鏡に向かい、両腕を上げて乳房の変形や左右差がないかチェックします。(乳房の下の方は自分では見にくいため、鏡を使うことが大切です。)②親指以外の4本の指をそろえて伸ばし、指先だけでなく指全体を使って渦を書くように手を動かし、乳房全体を確認してしこりの有無をチェックします。③仰向けになって外側から内側に向かって先ほどと同じように4本の指を滑らせ、しこりの有無をチェックします。これらを月1回のペースで行い、乳癌の代表的な症状であるしこりの他に、皮膚の引き連れ・乳房の変形・乳頭の陥凹・血性乳頭分泌物などがあれば医療機関を受診し、特に症状がなければ検診や乳腺ドックを受けていただくことが大切です。 残念ながら、日本では乳癌検診の受診率は34.2%(40~69歳)と低いです。検診、自己検診を適切に受けていただき、不安なく日々を過ごしていただきたいと思います。
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「がん治療薬 オプジーボって?」のお話
薬剤師 松岡 晃子
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皆さんはオプジーボという薬をご存知ですか?私はこの薬を持つと手が震えそうになります。というのも100mgで1本70万円もするからなのです!
オプジーボ(一般名ニボルマブ)は2014年に悪性黒色腫(メラノーマ)の適応が通り、今では非小細胞肺がんや腎細胞がんまで適応が拡大されているがん治療薬です。この薬の特徴として、1つは作用機序があります。今までのがん治療薬はがん細胞に直接作用するものが大半でしたが、この薬は我々が元々持っているがん細胞を攻撃するT細胞のPD−1受容体というところにくっつき、T細胞のがん細胞への攻撃力を高めるという、いわゆる免疫に作用していくタイプの薬になります。副作用としては間質性肺疾患などがあります。もう1つの特徴は冒頭でも述べた値段です。年間1人あたり3500万円かかるとされていて、患者負担はありますがほとんど医療保険料や税金で賄われています。そして薬価は原則2年に一度改定されますが、あまりにも保険財政に影響を及ぼしているため、2018年の薬価改定を待たずして薬価の引き下げが行われる予定です。
この薬は使わないから関係ないと思っていても、皆さんが納めている税金がこんなに使われているとわかったら、少しは身近に感じてきませんか?
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「乳がん術後のリハビリについて」
リハビリテーション科
理学療法士 中田 奈月 -
今回は乳がん術後のリハビリテーションについてお話させていただきます。
乳がんの手術後は、胸部やわきの切開部に痛みと肩の運動障害を認め、腕を上に挙げる動作や横に広げる動作が難しくなることがあります。その理由としては、皮膚切開による痛みや傷の治りとともに生じる創部周辺の硬さやつっぱり感、わきの神経を切離したことによるしびれが原因と言われています。また、「傷口が開いてしまわないか」「痛みが強くでないか」という不安や乳房切除によりボディイメージが低下してしまうなどの心理的問題で腕を動かすことへの恐怖心があると考えられています。これらの要因が重なり腕を動かさない状態が続いてしまうと、二次的な障害として肩の関節可動域制限や筋力低下により日常生活に支障をきたしてしまいます。
リハビリでは手術前より肩の運動や日常生活動作の評価を行い、手術後早期より痛みの少ない動作方法やリハビリ体操を実施し、入院前と変わらない日常生活に早く復帰できるよう、家事動作練習や自宅でもケアを継続していただけるように自主トレ指導も行っています。
外来通院時期には創部の治りにともない、腕を挙げた時にわきから腕の内側にかけてつっぱり感を生じる場合があります。その痛みや可動域制限により日常生活動作に支障がでてしまうため、継続して肩の可動域運動やストレッチングをおこなっています。
当科では手術前から術後、外来通院時期まで女性スタッフが対応しています。女性同士だからこそ話しやすいことも多くあると思っていますので何かございましたら、お気軽にお声かけ下さい。