院内誌まほろば78号
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表紙
「法 起 寺」
奈良県生駒郡斑鳩町
法起寺は聖徳宗の寺院で、天平時代の記録に池後尼寺とあることから、尼寺として建立されたことがわかります。別名、岡本尼寺、岡本寺、池後寺、池後尼寺と呼ばれています。
草創は、聖徳太子が、長子である山背大兄皇子に岡本宮を仏教寺とするよう遺言したのが始まりとされ、その後、舒明10年(638)に福亮僧正が金堂を建 立し、天武14年(685)に恵施僧正が宝塔建立を発願し慶雲3年(706)に完成し、伽藍を整えたといわれています。「法隆寺地域の仏教建造物」の一部 として世界遺産に登録されおり、聖徳太子建立七大寺の一つに数えられることもありますが、寺の完成は太子が没して数十年後のことです。
秋になると、周辺の休耕田が「コスモス畑」に様変わりし、 「コスモス畑」越しに見た三重塔は格別の絵になります。撮影 医療情報室 奥田 泰弘
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「 ヒポクラテスから
インフォームドコンセント(IC)
そして
エビデンスベイスドメディスン
(EBM)へ 」外科部長 青松 幸雄
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2400年前のギリシャそしてその神々の時代の医師ヒポクラテスは医学を呪術や迷信から臨床と経験を重んじる科学へと発展させ医学の父・医聖と呼ばれてい ます。病気は神が与え給うた罰ではないのです。医師の全能力を使って患者にとってベストな治療法を執り行うことや患者のプライバシー保護等を謳ったヒポク ラテスの誓いは現在でも通用する医療倫理です。その後暗黒の中世を経てルネサンス時代以後もヒポクラテスの考えた医療父権主義(パターナリズム)が続きま す。医師が患者になり代わって判断を下し、何の説明も与えないあるいは暗い見通しはなるべく告げずやむを得ない場合に限り危険の予告をする父権主義の考え が主流となっていました。
19世紀の半ばになると欧米ではパラダイムシフトが起こり、科学的発見や調査を重視する風潮の中、医療父権主義の慣行は廃れていきました。代わりに IC(正しい医療情報を伝えられた上での合意)という考え方が広まっていきます。欧米では20世紀半ばになってICの原則が確立され、①患者に治療方法の 選択肢を提示しその効果とリスクについて説明する②治療をする前に患者の同意を得ることが義務化され、現在では日本の医療においても導入されています。欧 米では1992年頃よりEBMの考え方が普及し、本邦でも21世紀に入り、患者がより良い治療法を選択する為にも統計学に裏打ちされた科学的根拠のある医 療を行う機運が高まってきています。
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「 子供への薬の飲ませ方 」
薬剤師 藤田 絵美
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子供にお薬をあげる時、難しいと感じたことはありませんか?なかなか飲んでくれなかったり、飲んでも吐き出してしまったり、無理やり飲ませると薬嫌いになってしまったり…。今回は“子供への薬の飲ませ方”をテーマにいくつかご紹介いたします。
まず乳児の場合、スポイドで少しずつお薬を垂らしていく方法や、粉薬であれば少量の水で練って上あごに塗りつける方法があります。ある程度の年齢になれ ば、ゼリーやアイスクリームなどに混ぜて飲ませてあげることも一つの方法です。特に苦味の強いお薬であれば、チョコレートのような味の濃い物に混ぜてあげ ることで、より服薬しやすくなります。
しかし、何と混ぜても良いというわけではありません。授乳期のミルクなど主食になるものや、子供の成長に必要なもの(牛乳など)と混ぜてしまうと、それ自体を嫌いになってしまう可能性があります。
その他、ジスロマックやクラリスは酸性の飲み物・食べ物(オレンジジュースやヨーグルト、スポーツドリンクなど)と混ぜてしまうことでより苦みが増してしまうため、注意が必要です。
また味の工夫だけでなく、お薬が飲めたときは褒めてあげることも大切です。飲めたときにシールを貼る等楽しみを作ってあげると良いかもしれませんね。
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「漬 け 物」
管理栄養士 藤本 幸余
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食欲の秋が過ぎダイエットに励む日々、また美容や健康志向の高まりの中で、漬け物は見直されつつあります。
野菜を塩・醤油・米ぬか・酒粕などの漬け床で漬け込んで発酵させた漬け物には、様々な乳酸菌が生息しています。特にぬか床を日々扱うぬか漬けには、乳酸 菌が多種多様にあります。乳酸菌は腸内環境を整え、便秘を改善します。また免疫機能を調節し、インフルエンザの感染予防や花粉症などのアレルギー疾患を予 防・軽減します。そして生活習慣予防の面でも血圧やコレステロール低下が見込まれます。
栄養的にもビタミンCや食物繊維が豊富に含まれています。日本でも一般化しているキムチにも乳酸菌が多く含まれています。ただ全ての漬け物が発酵してい るとは限らず、たとえば数時間から一日程度で漬けられた浅漬けや一夜漬けは、むしろ野菜の新鮮さや色合いに重きを置いています。また、現在では漬け物の大 量生産のために本来の発酵を待たず、人工の調味料で味付けされた漬け物も多く出回っていますが、そちらは乳酸菌の効果が少ないとされています。
いずれにしても白米に合うため、食卓やお弁当にはもちろんのこと、お年寄りや病中の方など、食の細くなっている方々の嗜好にも適しています。注意すべき は塩分で、大量に食べるとかえって健康を害してしまう恐れがあるため、ほどほどの量に抑えます。
今後も家庭で漬けたり買い求めるなどして、上手に付き合っていきたい食品です。
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「 減量プログラム(運動編) 」
リハビリテーション科
理学療法士 内西 沙耶 -
ダイエットのために運動しているけれどなかなか体重が減らない!という方、どんな運動でどのくらいの減量ができるのかご存じですか?
そこで今回は、どんな運動でどれくらいのカロリーが消費されるのか、その計算方法と一例を紹介します。 まず、知っておいていただきたいキーワードとして「METs(メッツ)」という言葉があります。METsとは安静座位を1とし、その何倍の消費量なのか を示したものです。 例えば、 乗り物に立ったまま乗ると2METs、楽器の演奏では3METs、 洗濯物を干すと4METs、 シャワーをすると4METs、 草むしりをすると5METs、 水泳では8METsとなります。 計算式は、 「METs×体重(kg)×運動時間(hour)=消費カロリー(kcal)」 ちなみに、脂肪1kgの減量には7000~7500kcalの消費が必要だと言われています。
では、この計算式を使った一例を紹介します。 体重50kgの人が水泳を1時間行うと、水泳(8METs)×50kg×1時間=400kcalの消費となります。1時間泳ぎ続けたとしてもこれっぽっち の脂肪しか消費されていないのです。
また、同じ体重50kgの人が通勤の際に30分、電車に立ったまま乗ると、乗り物に立ったまま乗る(2METs)×50kg×0.5時間=50kcalの消費となります。 これを毎日続けると、 50kcal×365日=18250kcalも消費できるのです!(摂取カロリーが毎日一定であった場合)。
このように、ダイエットとは即時効果の出るものは少なく、日々の継続によって効果が期待できるものではないかと思います。なので、皆さんも毎日の習慣を少し変えて、ダイエットしてみてはいかかでしょうか。