院内誌まほろば53号

表紙

「霊山寺」

 

 奈良市の富雄地区にあり、富雄川の支流湯屋川をはさんで南北両側の丘陵上に鎌倉時代建立の本堂(国宝)、三重塔(重文〕などの建古建築とともに、全面金箔 貼りの黄金殿、バラ園、温泉、ゴルフ練習場、大霊園などの設備を有する異色の寺院である。寺伝では聖武天皇の勅願により行基が開いたとされているが、伝承 によれば、小野妹子の子である小野富人は、壬申の乱(672年)に加担したかどで右大臣の地位を辞し、登美山に閑居し、鼻高仙人となり、熊野本宮大社に参 篭した際、薬師如来のお告げにしたがい、薬師如来を祀り、病人を癒すために薬草を栽培し薬湯を設けた。神亀5年(728年)皇女が病に苦しんでる聖武天皇 の夢枕に鼻高仙人が現われ、登美山の薬師如来の霊験を説いたので、僧・行基を登美山で祈願させたところ、皇女の病が平癒した。天平6年(734年)、聖武 天皇は行基に命じて霊山寺を建立させた。天平8年(736年)に来日したインド僧・菩提遷那は、登美山の地勢が故郷インドの霊鷲山に似ていることから霊山 寺と名付け、聖武天皇からは「鼻高霊山寺」の額を賜ったという。

 

撮影/今西 幸子
霊山寺バラ園にて


 十数年前に俳優の松田優作氏が若くして膀胱癌で亡くなられたときには、尿検査に受診する患者さんや開業医の先生方から、膀胱鏡の検査の依頼が一時的に急増 したことがある。現代のような情報化時代においては、膀胱癌に限らず、人々を啓蒙する際、マスコミの影響力が大きいことは言うまでもない。その上、有名人 が疾病と結びつくとその啓蒙力や影響力は一層の効果を発揮する。前立腺癌においては、日本では湯川秀樹、三波春夫、杉原輝夫、渡邊恒雄、森嘉朗、深作欣司 など、外国ではシアヌーク、ホメイニ、ロジャームーア、ミッテラン、シドニー・ポアチエなどの有名人が罹患していることが明らかにされ、さらに、今上天皇 が前立腺癌で手術されたことが報道されるや、全国民の注目を浴びることとなった。
  前立腺癌は、内腺から発生する肥大症とは異なり、外腺を発生母地にすることから症状が現れにくく、かつてはそれが発見を遅らせる大きな要因であった。 1986年ごろよりPSA(前立腺特異抗原)の出現によって、更にPSA検診が全国的に普及するに至っては、いままで発見され得なかった早期癌の診断率を 一段と向上させ、手術や放射線治療によって完治しうるようになってきた。
最後にもう一度、男性の方々へ「50を過ぎたらPSA!」


 髪は、発毛と脱毛を繰り返し、一定の量を保っています。ヘアサイクル(成長期・退行期・休止期)に何らかの変化が起きると、薄毛や脱毛が起こります。男性 の場合、前頭部や頭頂部が薄くなる男性型脱毛症(AGA)に悩む入が多く、ヘアサイクルの成長期の短縮が起こり、毛包のミニチュア化、硬毛の軟毛化が引き 起こされます。ミノキシジルに代表される様々な育毛剤が市販されていますが、最近、5α―還元酸素Ⅱ型阻害薬「フィナステリド錠」(商品名プロペシア錠) が発売されました。 男性ホルモンの関連疾患である前立腺肥大症で研究開発された薬剤です。
 男性ホルモン(テストステロン)は、毛乳頭細胞内でより強力な「ジヒドロテストステロン(DHT)」へと変換されます。このDHTが毛乳頭細胞の中にあ る受容体に結合すると、発毛を抑制する信号が出されます。プロペシアはそのDHTに変換されるのを阻害することで効果を現します。一般に6ヶ月程度飲み続 けると、効果が現れてきます。効果を持続させたい時は服用を続ける必要があります。また、かなり進行してから服用してもあまり効果が期待できません。1日 1回、食事の有無に関わらず服用できます。約2%の人に性欲減退、性機能障害が起こると報告されています。PSA値(病気の話参照)が使用患者さんでは半 減するため、治療や疾患の評価の際、留意すべき点もあります。使用には医師の処方筆が必要で、健康保険は適応されず、1錠あたり約250円が設定されてい ます。現在60カ国以上で承認され、90%に抜け毛の進行抑制、改善効果が認められています。効果がでるまでしばらくかかります。あせらずに継続することが必要です。


 和え物や煮物などの家庭料理に使われてきた酢は、今や健康ブームの花形選手としてそのものが飲まれてもいます。
以前から一般に消費されてきた穀物酢や米酢に加え、ヨーロッパから普及した肉料理などに合うブドウ酢や、その高級な一種であるバルサミコ酢、薄めたり、 ジュースやヨーグルトに加えて飲むことのできる黒酢やりんご酢、そして粕(もろみ)から作られるもろみ酢など、種類は豊富。酢にはいろんな効能があげられ ますが、一例として骨粗鬆症予防・高血圧の低下・糖尿病の予防・便秘解消などがあります。それらは、酢の成分(とくに酢酸)の働きによるものですが、毎日 酢を摂る習慣をつけるには、料理の調味料としての他に、ドリンクとして摂ることを薦めます。しかしむやみに酢だけ摂ればいいということは決してなく、ドリ ンクにしても合わせる材料の成分を、例があれば考慮し、適度な運動と規則的な食生活の中に上手に取り込んでいくことが必要です。


 「約7割の日本人が悩んでいる肩こり、最も多い原因は姿勢です」いくら正しい姿勢を取っていても、その姿勢を保つために常に筋肉は酷使されています。それ が一旦崩れると、姿勢の悪い部分の筋肉がより疲労・緊張し、血流が阻害され、痛みなどの不快な症状を引き起こします。欧米人に比べ日本人は、骨格が華奢な ために筋肉が疲労しやすいというだけでなく、畳の生活など文化的背景も要因の一つと考えられます。
寝転がってテレビを見る、うつ伏せで本を読む、胡座をかく、横座り.イスに座り同じ側に足を組む、カバンを同じ側に掛ける・持つ、猫背など、皆さん思い当 たることはないですか?日頃から、癖になっている姿勢や動作を振り返り見直すことも大切です。また、長く同じ姿勢でいた時には、背伸びをするように腕を上 に伸ばすほか、①右腕を左方向に真横に伸ばす ②左腕を右腕の肘辺りで交差させそのまま胸に引き寄せる ③手を変えて行うストレッチが効果的です。


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