院内誌まほろば102号

表紙

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「岡寺」

  

 

 

 5月下旬から7月上旬にかけて、西国三十三所観音巡礼(日本遺産)の奈良札所寺院である、岡寺、壺阪寺、長谷寺の三ヶ寺では紫陽花が見頃になることから、それぞれの寺院で趣向を凝らした「あぢさゐ回廊」が開催されています。
写真は岡寺のもので、紫陽花の見頃に合わせて境内の池や手水舎、鉢に天竺牡丹(ダリア)を浮かべて参拝者の目を楽しませてくれます。
また岡寺は、日本で最初の厄除け霊場としても信仰を集め親しまれており、特に女性の厄除けに霊験あらたかといわれています。
 

撮影 リハビリテーション科 細川 彰子


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「放射線治療の話」

放射線科 堀川 典子

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 高精度放射線治療という言葉を聞かれたことがあるでしょうか。今回は当院で行うことのできる安全で精度の高い高精度放射線治療について説明したいと思います。
【IMRT(強度変調放射線治療)】
 IMRTは、放射線の治療中に放射線の強さに強弱をつけ、腫瘍に対して集中的に照射を行う方法です。腫瘍の形に合わせて照射することができ、照射したくない臓器を避け最小限の線量に抑えることができます。頭頚部がん、前立腺がん、再照射(脊髄線量や重要臓器を避けるため)などで用います。
【定位放射線治療】
 定位放射線治療/体幹部定位放射線治療は、比較的小さながんに対して多方向から放射線を集中して照射する治療方法です。通常の放射線治療よりも1回に大量の放射線を短期間(肺がん、脳腫瘍であれば1日おきに4-5回程度)で照射します。手術の対象(特に肺がん)であっても、高齢、合併症などの理由で手術が難しい方、手術を拒否されている方などが対象になります。
 脳腫瘍に対しては、位置合わせで誤差を1mm以内の精度で治療します。腫瘍の大きさが直径3㎝以下であればγナイフと同様の精度で治療ができます。
 肺の腫瘍も、肺がん、転移性肺腫瘍(単発など少数)など、直径3㎝以下の小さな腫瘍に対して治療することができます。


「化学放射線療法について」

薬剤師 井口 仁美

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 化学放射線療法は、ケモラジやCRTと称され、抗がん剤を使用する化学療法と放射線照射を併用して行われるがん治療の一つです。放射線照射では局所治療を行い、目に見えない遠隔転移に対しては化学療法で全身治療を行います。さらに、フルオロウラシルやシスプラチンなど一部の抗がん剤には放射線増感作用があり、放射線と併用することで、放射線治療の効果を高めることができます。声帯など、生活していく上で重要な臓器を摘出することを避けたい場合にも、手術ではなく化学放射線療法が選択されることがあります。
標準治療として、肺がん・食道がん・頭頸部がん・子宮頸がんなどに適応があり、当院では、肺がんや食道がんでの実施例が多く、頭頸部がんに対して実施されることもあります。
 化学療法単独とは異なり、放射線照射部位の皮膚障害や粘膜障害、放射性肺臓炎などの副作用が発現します。粘膜障害では、食道や縦隔に放射線照射される場合は食道炎が起こることがあり、食事をとったり、飲水する際に強い痛みが生じることがあります。その際には、一時的にオピオイド(医療用麻薬)を使用して痛みをとることもあります。
 化学放射線療法において我々薬剤師が関わる化学療法は、治療としては補助的な位置付けになりますが、副作用マネジメントについては、化学療法単独の副作用だけでなく、放射線照射で起こる副作用も念頭におきながら、治療完遂できるように日々サポートしています。


免疫力アップ「まごわやさしい」

管理栄養士 辻本 牧子

 近頃、「免疫力」という言葉を見かける人も多いのではないでしょうか。
 免疫力とは、「病気(疫)を免れる力」です。免疫力は「白血球」という免疫細胞がつかさどっており、身体に侵入してきたウイルスや細菌などの病原菌から身体を守っています。免疫力が低下すると、感染症や病気にかかりやすくなるだけでなく、病気が悪化するリスクも高まります。免疫力低下の原因は、加齢やストレス、食生活の乱れ等さまざまなことが考えられます。
 免疫力低下を防ぐには、必要な栄養素をとることが大切です。各栄養素にはそれぞれの働きがあり、健康を保つことに役立っています。時間がなかったり忙しい毎日が続いていたりすると、つい簡単に食事をすませてしまいがちですが、いつも同じメニューだと栄養素が偏ってしまいます。このような時は、できるだけいろいろなメニューを心がけ、不足している栄養素はないか意識しながら食事をとるとよいでしょう。
 免疫力アップを目指すには、1日トータルで栄養素が不足していないかを考えてみましょう。そんな時のチェックに「まごわやさしい」はいかがでしょうか。
・ま(豆)・ご(ゴマ)・わ(わかめ(海藻))・や(野菜)・さ(魚(蛋白質))・し(しいたけ(キノコ類))・い(いも)
「まごわやさしい」は、和の食材7種類の頭文字をとったものです。これらの食材はビタミンやミネラル、良質の蛋白質や脂質、そして炭水化物を含みます。
 食べていなかった食材を補い、栄養バランスを整え、免疫力をアップしましょう。


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「がんのリハビリテーションについて」

作業療法士 東尾 敬一

 

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 がんのリハビリテーションは、がんの治療中や治療後に身体機能や心理的な健康の回復を促すための総合的なアプローチです。特別な手技があるわけではなく、他のリハビリテーションと同様に患者の状態やニーズを把握し、ADLやQOLを向上させるために重要な役割を果たします。
 身体機能面においては、①がんそのものによる機能低下と、②治療の過程で生じる機能低下があります。①では、脳転移による麻痺や言語・嚥下障害、骨転移による骨折や痛みなどが挙げられ、②では、化学療法・放射線療法による体力の消耗、手術後の肺炎などの合併症、抗がん剤による様々な副作用など多岐に渡ります。これらはがん治療を行う上で避けて通れない反面、がん患者のQOLを著しく低下させることにつながりかねません。これらに対して、リハビリテーションでは、治療前や治療直後から終末期にかけて「予防的・回復的・維持的・緩和的」と段階的に目標を変えながら関わりを継続していくことで、機能低下の予防につながると考えられています。また、心理的な面では、がんの治療によるストレスや不安、うつ症状に対して、傾聴、カウンセリング、軽作業による気分転換などで患者の心理的な健康をサポートします。
 がんのリハビリテーションは個々の患者のニーズや状態に応じて柔軟に調整されるべきであり、そのためには医師、看護師、リハビリ、栄養士、心理士、ソーシャルワーカーなど、多職種による連携が必要なのです。

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